| メンバー | 担当 |
|---|---|
| yowa(ヨワ) | ボーカル |
| AOi(アオイ) | ギター・ボーカル |
| マイ | ベース・コーラス |
CLAN QUEEN(クランクイーン)は、yowa、AOi、マイの3人からなるアートロックユニットです。
楽曲制作だけでなく、ミュージックビデオやグラフィックなどの視覚表現にもメンバー自身が深く関わり、音楽とアートを一体として届けてきました。
2023年には「踊楽園」がSpotifyのバイラルチャートで最高6位を記録し、2025年のアルバム『NEBULA』はタワレコメンアワードの「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に選出されています。
そんな3人の出会いをさかのぼると、芸術系の大学で活動していた前身バンドと、インターネットで「歌ってみた」を投稿していた一人のボーカリストにたどり着きます。
しかも、現在のバンドが生まれるまでには、単に新しいボーカルを迎えるだけでは終わらない、音楽と表現の方向性をめぐる出来事がありました。
今回は、CLAN QUEENのメンバーそれぞれの音楽との出会いから、前身バンド、yowaの加入、結成後の活動、メジャー移籍までの歩みをご紹介します。
| 音楽史の段階 | CLAN QUEENの歩み |
|---|---|
| 音楽との出会い | AOiはミュージカル、マイはアニメやロック、yowaはボーカロイド文化などに親しむ |
| 前身バンド | 大学の同級生だったAOiとマイが「WARS iN CLOSET」で活動 |
| 現在名義の始動 | yowaを迎えてCLAN QUEENへ改名し、2022年11月に「ヘルファイアクラブ」を発表 |
| 認知の拡大 | 2023年の「踊楽園」がSpotifyバイラルチャート最高6位を記録 |
| 音楽性の発展 | 2024年に『VeiL』『TOYS』、2025年に『NEBULA』を発表 |
| メジャー移籍 | 2026年、Sony Music Labelsへ移籍し『Secret Empire』を発表 |
CLAN QUEENの3人はどんな音楽を聴いて育った?
CLAN QUEENの3人は、最初から同じ音楽を好んでいたわけではありません。
ミュージカル、ロック、ゲーム音楽、ボーカロイドなど、それぞれ異なる音楽文化に親しんできました。
2024年11月8日のJ-WAVE『MUSIC BLOOM』では、メンバー同士でも普段聴いている音楽の趣味はかなり違うと話しています。
AOi:ミュージカルからロックへ、作曲を始めるまで
ギターとボーカルを担当するAOiの音楽との出会いには、家庭で親しんでいたミュージカルがありました。
2024年のローチケのインタビューによると、親の影響で『オペラ座の怪人』などのミュージカル曲が好きになったそうです。
同年のJ-WAVE『MUSIC BLOOM』では、『オペラ座の怪人』や『キャッツ』などを手がけた作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーから大きな影響を受けたことも語っています。
ロックバンドのギタリストとして知られるようになる以前から、音楽と物語が結び付いた舞台作品に親しんでいたのです。
その後、小学生のころに出会ったのがSEKAI NO OWARIでした。
AOiは同バンドから強い影響を受け、音楽をやりたいと思うようになったと振り返っています。
実際に楽器を始めたのは高校1年生のときです。
2026年4月15日のFM802『ROCK KIDS 802』では、高校の軽音部でギターを始め、高校3年生のころに初めてオリジナル曲を作ったことが紹介されています。
高校時代に自分で曲を作り始めたことは、その後の音楽活動を考えるうえで重要な出来事です。
CLAN QUEENでは作詞・作曲・編曲を中心的に担い、楽曲から生まれる情景をグラフィックや映像へと広げてきました。
2024年のJ-WAVEでは、まず頭の中に映像のイメージを描き、そのイメージから楽曲を制作することがあると説明しています。
曲を作る際には、自身の実体験や記憶を振り返り、書き留めておいた感情を材料にすることも多いそうです。
幼いころに触れた物語性のある音楽と、高校時代に始めた作曲が、後の表現活動へと続いています。
マイ:ギターとの出会いとベースへの転向
ベースを担当するマイが楽器を始めたきっかけは、テレビアニメ『けいおん!』でした。
2026年のFM802『ROCK KIDS 802』では、作中に登場するギタリストの「あずにゃん」こと中野梓に憧れ、ギターを始めたと振り返っています。
小学生のころから児童館で練習するなど、早い時期に実際の演奏へ踏み出していました。
ただし、最初からベースを弾いていたわけではありません。
高校3年生のとき、友人と楽器を交換してライブで演奏した経験が、ベースへの転向につながりました。
ギターを始めた少女が、高校時代のライブをきっかけにベースへ持ち替えたという経緯です。
また、マイが音楽的な影響源として挙げているのがTHE ORAL CIGARETTESです。
2024年のローチケのインタビューでは、楽曲だけでなく、人としてのあり方や世界観にも影響を受けたと話しています。
2025年のインタビューでは、高校時代に気持ちが沈んでいたとき、THE ORAL CIGARETTESの音楽を聴いて、自分と似た考えを持つ人がいると感じた経験を明かしました。
一方、好きな音楽はロックだけではありません。
J-WAVE『MUSIC BLOOM』ではゲームのインストゥルメンタル音楽も好きだと語り、特に『レイトン教授』シリーズの音楽を挙げています。
FM802では、アイドル文化にも昔から親しんできたことが紹介されました。
楽器の演奏に加えて、マイの活動で重要なのが映像制作です。
映像の仕事を始めたのは、AOiと前身バンドを組んだ後のことでした。
2024年のローチケでは、自分たちでミュージックビデオを作ろうと思ったことが制作の始まりだったと振り返っています。
専門的に映像制作だけを学んできたわけではなく、現場へ足を運び、経験者から話を聞きながら技術を身に付けてきたこともFM802で明かしています。
その後、CLAN QUEENのミュージックビデオ制作を担うようになりました。
yowa:ボカロ文化と「歌ってみた」から始まった歌の活動
yowaは、AOiやマイとは異なり、インターネット上の歌唱活動を経てCLAN QUEENに加わったボーカリストです。
2024年のJ-WAVE『MUSIC BLOOM』では、2009年ごろのボーカロイド楽曲を多く聴いていたと話しています。
ボーカロイド文化や歌い手文化は、yowaが音楽を楽しみ、自ら歌を届けるようになるうえで大きな存在でした。
FM802『ROCK KIDS 802』によると、小学生から中学生にかけて、すでに「歌ってみた」の動画を投稿していたそうです。
学校では軽音部に所属し、ボーカルとしても活動していました。
そのころにカバーしていたのは、SCANDAL、チャットモンチー、相対性理論などの楽曲です。
つまり、ネット上で歌を届ける活動と、学校でバンドのボーカルを務める経験の両方がありました。
もう一人、yowaが音楽的なルーツとして挙げている人物がyamaです。
2025年のローチケのインタビューでは、歌い手から活動の幅を広げていったyamaについて、憧れであり、自分のルーツにあたる存在だと説明しています。
CLAN QUEEN加入以前から歌い手として活動していたyowaにとって、同じ文化から音楽活動を広げた先輩の存在には特別な意味がありました。
後にマイがインターネットで見つけることになるのも、そんなyowaの「歌ってみた」動画でした。
大学で生まれた前身バンド「WARS iN CLOSET」
CLAN QUEENには、WARS iN CLOSET(ウォーズ・イン・クローゼット)という前身バンドがあります。
その中心にいたのがAOiとマイでした。
2人の出会いは音楽活動の現場ではなく、芸術系の大学での学生生活にありました。
同級生だったAOiとマイの出会い
2024年11月1日のJ-WAVE『MUSIC BLOOM』で、AOiはマイと同じ大学に通い、そこで前身バンドを結成したことを明かしています。
マイも、2人が同じ学科の友人だったと説明しました。
「学科も同じ友達、同級生でしたね。」
出典:J-WAVE『MUSIC BLOOM』2024年11月1日放送アーカイブ/マイの発言
同じ場所で学びながら親しくなった2人は、やがてバンド活動を始めます。
2024年5月のローチケのインタビューによると、前身バンドは約1年半活動していました。
AOiは楽曲制作に関わり、マイはベースを演奏するとともに、ミュージックビデオの制作にも取り組むようになります。
当時から音源だけを作るのではなく、映像を含めて自分たちの作品を形にする活動を行っていました。
このころに制作された楽曲の一部は、後にCLAN QUEENの作品として再録されています。
そのため、前身バンドの活動は、現在のバンドとは切り離された単なる過去の経歴ではありません。
音楽制作の方法や初期の作品において、両者はつながっています。
前身バンドの活動とボーカル交代の転機
WARS iN CLOSETが活動を続けるなかで、ひとつの変化が起こりました。
当時のボーカルがバンドを離れることになったのです。
AOiはJ-WAVEで、前身バンドのボーカルが辞めることをきっかけに、インターネットで新しい歌い手を探し始めたと振り返っています。
さらに、2026年の音楽ナタリーのインタビューでは、前身バンドが終わった原因の一つに、ボーカルとAOiたちの間で表現したい世界観に違いがあったことを挙げています。
この経験は、新しいメンバーを迎える際の考え方にも影響しました。
ただ歌声が合う人を探すだけでなく、どのような表現を一緒に作っていきたいのかも重要になったのです。
当初、AOiとマイはWARS iN CLOSETに新しいボーカルを迎えて活動を続けることを考えていました。
2024年11月のローチケでAOiが振り返ったところによると、最初から新しい名前のバンドを立ち上げようとしていたわけではありません。
前身バンドの新ボーカルを探す活動から、CLAN QUEENの結成へと発展していったのが実際の流れでした。
その新しいボーカル候補を見つけたのがマイです。
yowaとの出会いからCLAN QUEEN結成へ
WARS iN CLOSETのボーカルが離れたあと、AOiとマイはインターネットで新しい歌い手を探しました。
そこで出会ったのが、歌い手として活動していたyowaです。
3人が集まるまでの経緯は、2024年のJ-WAVEやローチケ、2026年の音楽ナタリーなどで繰り返し語られています。
歌ってみた動画を見つけたマイからのDM
新しいボーカルを探していたマイは、X(当時のTwitter)やYouTubeを通じて歌い手を調べていました。
そのなかで見つけたのが、yowaの「歌ってみた」動画でした。
歌声を聴いたマイは、一緒に音楽をやりたいと考え、直接メッセージを送ります。
ところが、最初から話がスムーズに進んだわけではありません。
yowaにとって、歌い手として活動しているアカウントへバンド加入の誘いが届くことは珍しかったのです。
2024年のJ-WAVE『MUSIC BLOOM』では、最初は相手がどのような人なのかも分からず、戸惑いがあったと振り返っています。
しかも、マイが送ったメッセージには、びっくりマークや白いハートがたくさん使われていました。
マイとしては相手を安心させるつもりだったそうですが、その熱量がかえってyowaを驚かせてしまったと、後に笑いながら話しています。
yowaは動画のコメント欄にもマイと思われるアカウントを見つけ、返信しないと気まずいかもしれないと考えたそうです。
こうして最初の接点が生まれ、やがて直接話す機会へと進んでいきました。
後になって、3人が同い年であることも分かったといいます。
インターネットで活動していた歌い手と、大学でバンドを組んでいた2人。
もともと別々の場所で音楽を続けていた3人が、ひとつのバンドへ集まることになりました。
3人で共有した世界観とガイドライン
yowaを迎えるにあたり、AOiとマイが行ったのは、楽曲の練習やライブの準備だけではありませんでした。
まず、新しいバンドとしてどのような表現をしていくのかを整理することから始めたのです。
2024年のローチケのインタビューで、AOiは次のように話しています。
「yowaが加入して、最初にやったのはガイドライン作りでした。」
出典:ローチケ「CLAN QUEEN インタビュー」2024年5月15日
大学ではデザインを学んでいたこともあり、AOiたちは作品の表現方法について共通のルールを設けることを考えました。
例えば、ロゴを制作したときに、どのような使い方をするのか、反対にどのような使い方を避けるのかを決めるような考え方です。
マイも、ユニットとしての統一ルールを作り、そこから外れないように表現を積み重ねてきたと説明しています。
2026年の音楽ナタリーでは、前身バンドで世界観の違いを経験したため、最初に方向性を定義しておくことが大切だと考えたことも語られました。
yowa自身も、もともと暗さと上品さを併せ持つような表現をしたいと考えていたそうです。
提示された資料を見て、その方向性に共感できたことが加入へ進むうえで重要だったと振り返っています。
CLAN QUEENは、3人が集まってから音楽の方向性を探したのではなく、最初に表現したい世界を共有するところから活動を作り上げたのです。
その後、楽曲が完成するまでにも時間がかかりました。
AOiは2026年の音楽ナタリーで、yowaが加わってから最初の曲「ヘルファイアクラブ」が完成するまで、半年ほど試行錯誤したと話しています。
歌声の相性だけではなく、3人で納得できる表現へ近づけるために制作を重ねた期間でした。
バンド名に込められた意味と最初の楽曲
yowaを迎えたバンドは、WARS iN CLOSETからCLAN QUEENへと名前を改めました。
2024年11月1日のJ-WAVE『MUSIC BLOOM』では、バンド名の意味についてもメンバーが説明しています。
マイは3人がそれぞれ主役になるようなイメージを挙げ、AOiも、一人ひとりが前へ出て、それぞれに活躍の場があることを大切にしていると話しました。
楽曲を作るAOiだけでなく、ボーカルのyowa、映像を担うマイも、それぞれの表現によって作品へ関わっています。
その考え方は、ファンの呼び名にも表れています。
2024年2月、AOiはXでファンネーム「CLANS(クランズ)」を提案しました。
投稿では、ファンに名前を付けることで境界線が生まれてしまうことへの迷いに触れながら、「CLAN」という氏族の意味を広げていきたいという考えを説明しています。
新しい名前での活動が形になったのは2022年です。
2022年11月7日、CLAN QUEENは「ヘルファイアクラブ」を配信リリースしました。
同日に公開された公式ミュージックビデオでは、AOiが作詞・作曲を担当し、マイが監督と編集を務めています。
この作品には、yowaの歌声に加え、楽曲と映像を自分たちで組み立てる活動形態が表れています。
結成初期のCLAN QUEENが、どのような音楽と映像から出発したのかを確認できる作品です。
この曲を出発点に、CLAN QUEENは配信リリースとミュージックビデオ制作を重ねていきました。
「踊楽園」の反響から初アルバム『VeiL』まで
2022年に始動したCLAN QUEENは、その後も音源の配信と映像制作を続けました。
2023年には「踊楽園」がストリーミングサービス上で反響を呼び、バンドの音楽がさらに広いリスナーへ届くきっかけとなります。
このころの活動では、制作した楽曲をどのように映像で表現するかも重要な要素になっていました。
Spotifyバイラルチャート6位となった「踊楽園」
2023年6月30日に配信された「踊楽園」は、CLAN QUEENにとって認知の広がりを示す楽曲となりました。
同曲はSpotifyのバイラルチャートで最高6位を記録しています。
Real Soundが2023年8月1日に公開したバイラルチャートの記事でも、7月26日付の「Daily Viral Songs(Japan)」で6位に入ったことが確認できます。
Spotifyのバイラルチャートは、単純な再生数だけではなく、楽曲が共有される動きなども反映するランキングです。
「踊楽園」は、大規模なプロモーションを伴わずにこの順位へ到達した作品として、アーティストの公式プロフィールでも紹介されています。
ミュージックビデオの制作方法にも、初期のCLAN QUEENらしい工夫がありました。
2025年のrockin’on.comでは、yowaの画像を透過させ、マイとAOiがコラージュとして動かす方法で制作していたことが紹介されています。
当時から大きな制作体制に頼るのではなく、メンバー自身のアイデアと技術を組み合わせて映像を形にしていました。
自分たちで制作した楽曲と映像を発信し、「踊楽園」が客観的なチャート実績を残したことは、初期活動における大きな節目でした。
この曲を含む初期作品は、後の1stアルバムにも収録されることになります。
初ワンマンと『VeiL』で形になった世界観
CLAN QUEENは2024年4月3日、1stアルバム『VeiL(ヴェイル)』を配信リリースしました。
アルバムには「ヘルファイアクラブ」「踊楽園」「Tokyo Mood」「サーチライト」「天使と悪魔」「プルートー」など、初期活動を通じて発表してきた楽曲が収録されています。
2026年の音楽ナタリーのインタビューで、AOiは『VeiL』を愛について歌った作品として説明しています。
アルバムを単なる楽曲の寄せ集めとしてではなく、ひとつのテーマを持った作品として捉えていたことがうかがえます。
その後、2024年4月28日には渋谷eggmanで初のワンマンライブ「The VeiL」を開催しました。
配信音源や映像を通じて構築してきた表現を、ひとつの公演として届ける機会です。
さらに同年11月から12月には、初のワンマンツアー「PARADE OF TOYS」を開催しています。
2024年5月のローチケのインタビューでは、公演ごとにテーマや演出を変えていく構想についても語っていました。
ライブにおいても、楽曲を演奏することだけでなく、ステージ全体の見せ方を意識していたのです。
この時期の活動を通じて、音源、ミュージックビデオ、ライブがそれぞれ別のものではなく、共通した世界観を持つ表現として形になっていきました。
『TOYS』で前身バンドの楽曲を再構築
2024年10月23日、CLAN QUEENはEP『TOYS』をリリースしました。
この作品が特徴的なのは、新曲を作るだけでなく、前身バンドWARS iN CLOSET時代の楽曲を現在の3人で再構築したことです。
『TOYS』には、前身バンドとして発表し、ライブでも演奏してきた楽曲を新しい編成で再録した6曲が収録されています。
2024年11月のローチケでAOiは、yowaを迎えた当初から前身バンドの楽曲をリアレンジして再録する構想があったと話しています。
ただし、以前の音源をそのまま録り直せばよいわけではありませんでした。
すでに発表されていた楽曲だからこそ、何を残し、何を変えるべきかを話し合いながら制作したそうです。
マイは「花一匁」と「PLAYER01」のベースリフが難しく、前身バンド時代にもレコーディングで苦労したことを振り返っています。
しかし、ライブで繰り返し演奏してきた経験もあり、再録時には以前よりスムーズに演奏できたといいます。
yowaにとっても、すでに物語や世界観のある楽曲を自分の声で表現する作業には難しさがありました。
「アリスの嘘」では楽曲の感情に深く入り込むあまり、歌唱を続けるために何度か休憩を挟んだと話しています。
AOiは特に「花一匁」のアレンジを大きく変えたことに不安もあったものの、yowaの声が加わったことでCLAN QUEENの楽曲になったと感じたそうです。
『TOYS』は、WARS iN CLOSETからCLAN QUEENへの変化を、楽曲そのもので確認できる作品となりました。
前身バンドの音楽を受け継ぎながら、新しい3人で演奏と歌唱を作り直す。
それは結成時に目指していた表現を、過去の作品にも反映させる作業でした。
同作ではコンセプトフィルムも制作され、マイが監督と編集を担当しています。
収録曲を通じて男女の物語が進む映像作品として、前身バンド時代のミュージックビデオを意識した表現も取り入れられました。
かつて制作した楽曲と映像を、新しいCLAN QUEENの表現で捉え直した作品だったのです。
『NEBULA』からメジャー移籍への転機
1stアルバム『VeiL』とEP『TOYS』を経て、CLAN QUEENは2025年に2ndアルバム『NEBULA(ネビュラ)』を発表しました。
この作品では、これまでの音楽活動を踏まえながら、自分自身を知ることや内面と向き合うことがテーマになっています。
アルバム制作とライブ活動を重ねた経験は、翌2026年のメジャー移籍を考えるうえでも重要なものになりました。
2ndアルバム『NEBULA』と音楽性の変化
2025年6月11日に発表された『NEBULA』は、CLAN QUEENにとって2枚目のフルアルバムです。
既発曲に加えて新曲も収録され、全11曲で構成されています。
1stアルバム『VeiL』が愛をテーマとしていたのに対し、『NEBULA』では自分を知ることが中心になりました。
AOiは2026年の音楽ナタリーのインタビューで、『VeiL』を自己紹介にあたる作品だったと説明し、『NEBULA』の制作では自分自身を掘り下げる時間を過ごしたと振り返っています。
楽曲の主人公や物語を描きながら、自分自身の内面へ目を向けることにもなったのです。
2025年9月のローチケのインタビューでは、AOiは『NEBULA』を次のように表現しています。
「CLAN QUEENの根っことなるアルバムですね。」
出典:ローチケ「CLAN QUEEN インタビュー」2025年9月15日
AOiにとっては、このアルバムを中心に据えることで、さらに幅広い音楽性へ挑戦できるという感覚があったそうです。
マイも、制作期間に濃い時間を過ごしたことで、アルバムを聴くと当時の記憶や感情がよみがえると話しています。
yowaは、歌唱技術の面でも成長を感じた作品だったと振り返っています。
歌詞が描く物語を自分自身の考えにも重ねながら、感情表現と向き合ったそうです。
制作では、AOiが自らの経験や感情を曲に落とし込み、マイとyowaがそれぞれ演奏や歌唱、映像の面から作品へ関わっていました。
こうした制作を重ねるなかで、3人それぞれが作品への理解を深めていきました。
『NEBULA』を軸にしたワンマンツアーも開催され、ライブでの表現をさらに広げる機会となります。
2025年にはタワーレコードのバイヤーによる推薦企画「タワレコメン」に選ばれ、同年12月には『NEBULA』がタワレコメンアワード2025の「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に選出されました。
タワーレコードによる同アワードは、2025年にタワレコメンへ選ばれた作品を対象に、全国の店舗バイヤーによる投票で10アーティストを選出したものです。
また、2025年にはTHE ORAL CIGARETTES、yamaをそれぞれ迎えた2マンライブ「MIRAGRAM」も実現しています。
マイとAOiにとってTHE ORAL CIGARETTESは大きな影響を受けたバンドであり、yowaにとってyamaは憧れの存在でした。
学生時代や歌い手活動のころに影響を受けた先輩アーティストと、同じステージに立つ機会も生まれたのです。
『Secret Empire』に至るまでの歩み
2026年3月7日、CLAN QUEENはSony Music Labelsへの移籍を発表しました。
同社のSony Music Associated Records内には、プライベートレーベル「Princidom Records」が設立されています。
そして同年4月15日、初のメジャーディール作品となるトリプルA面シングル『Secret Empire』を配信リリースしました。
収録曲は「無花果」「Eden」「Dirty Little Secrets」の3曲です。
「Eden」では、AOiが1曲を通して単独で歌うという新しい表現にも取り組んでいます。
それまでギターと楽曲制作を中心に担っていたAOiが、歌唱の面でも新たな役割を見せる作品となりました。
もっとも、メジャー移籍をきっかけにCLAN QUEENの音楽をまったく別のものへ変えようと考えていたわけではありません。
2026年の音楽ナタリーのインタビューでAOiは、『NEBULA』を通じて自分自身を深く掘り下げられたことが、メジャー移籍を選ぶ理由になったと話しています。
アルバム制作を通じて、個人としてもバンドとしても成長した実感があったそうです。
さらに2025年にはフェス出演やライブを重ね、ステージでの経験も積んできました。
マイも、ライブを続けるなかでバンドとしての力が付いた感覚があったと振り返っています。
yowaは、メジャーという環境について、これまで続けてきた活動の可能性を広げるためのものだと捉えていました。
メジャー移籍そのものが音楽性を変えたのではなく、『NEBULA』の制作やライブで積み重ねた経験が、新しい環境へ進む判断につながったという流れです。
実際、CLAN QUEENが結成当初から大切にしてきた制作方法は、メジャー移籍後の作品にも引き継がれています。
音楽を作るAOi、歌唱を担うyowa、映像を制作するマイが、それぞれの立場から共通の世界観へ関わるという活動です。
『Secret Empire』の制作でも、3曲を通じてCLAN QUEENの異なる表情を示すことが意識されました。
AOiは、1曲だけではバンドを十分に表現できないと考え、3曲それぞれに異なる役割を持たせる構成を目指したと説明しています。
前身バンドから受け継いだ楽曲を『TOYS』で再構築し、1stアルバムでは愛を、2ndアルバムでは自分自身を知ることを描き、そしてメジャー移籍作品へと進んだCLAN QUEEN。
その出発点には、大学で出会ったAOiとマイが、ネットで歌っていたyowaを見つけ、3人でどのような表現を作りたいのかを話し合った時間がありました。
初めての楽曲が完成するまで半年ほど試行錯誤した経験も、前身バンドの曲を作り直した経験も、メンバー自身の手で音楽と映像を作る活動のなかに残されています。

