| メンバー | 担当 |
|---|---|
| 内田怜央 | ボーカル |
| 関将典 | ベース |
| 長谷部悠生 | ギター |
| 益田英知 | ドラム |
| 千葉大樹 | キーボード |
Kroi(クロイ)は、R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、さまざまな音楽を横断する5人組バンドです。
2018年2月に結成され、2021年6月に1st Album『LENS』でメジャーデビューしました。
ただし、最初からこの5人がそろっていたわけではありません。
中学時代から一緒に音楽をしていた内田怜央と長谷部悠生、同じ大学に通っていた関将典と益田英知という2組がInstagramを介してつながり、そこへ後から千葉大樹が加わっています。
しかも5人が通ってきた音楽は同じではなく、ロック、ファンク、ブルース、ヒップホップ、電子音楽など入口もさまざまです。
その異なるルーツは、結成やメジャーデビューだけでなく、日本武道館や海外公演、かつて影響を受けたINCOGNITOとの制作へもつながりました。そして2026年には、「SPIN」でKroi初となる米Billboardチャートインを記録しています。
| 音楽史の段階 | Kroiの歩み |
|---|---|
| 音楽の原点 | 5人がロック、ファンク、ブルース、ヒップホップ、電子音楽など別々の入口から音楽を掘り下げる |
| メンバーとの出会い・結成 | 内田・長谷部と関・益田の2組がInstagramを介してつながり、2018年2月にKroiを結成 |
| 初期活動・5人体制 | 2018年に「Suck a Lemmon」を発表。2019年にSUMMER SONICへ出演し、同年12月に千葉が加入 |
| メジャーデビュー | 2021年6月23日、1st Album『LENS』でメジャーデビュー |
| 海外展開 | 2025年に初のアジアツアーを完走。2026年には音楽的ルーツでもあるINCOGNITOと「Kinetic」を制作 |
| 米Billboard初登場 | 2026年、「SPIN」が米Billboard「Hot Rock & Alternative Songs」で44位に入り、Kroi初の米Billboardチャートイン |
結成前|5人の音楽ルーツは別々の場所から始まった
Kroiはブラックミュージックを大きな共通項に持つバンドですが、5人が同じ音楽を聴いて育ったわけではありません。
ロックからファンクへ向かったメンバー、大学から楽器を始めたメンバー、ブルースを掘ったメンバー、ピアノや電子音楽を通ってきたメンバーが、別々の道から集まっています。
内田怜央と長谷部悠生|中学時代から音楽を共有
ボーカルの内田怜央は、小学生のころにドラムのレッスンへ通っていました。
その時期の音楽体験として重要なのが、後にKroi自身と作品を作ることになるINCOGNITOです。
小学校低学年のころ、ドラムの発表会で講師が演奏していた曲をきっかけにINCOGNITOを知り、そこから曲を聴き、自分でもドラムで演奏するようになりました。内田にとっては、音楽へ深く入っていった初期衝動のひとつでした。
ドラムの課題曲として触れたB’zも強く印象に残り、そこからRed Hot Chili Peppersなどへ興味が広がっていきます。
さらにヒップホップやファンク、ソウルへと聴く範囲を広げ、Lauryn HillやAl Greenなども自身の音楽を語る中で挙げています。
一方、ギターの長谷部悠生は尾崎豊などを聴いたところから音楽に入り、映画音楽をきっかけにNile Rodgersへ興味を持つようになりました。
中学生のころに通っていたギター教室では、カッティングの練習曲としてINCOGNITOの「Colibri」に触れています。後に長谷部は、この体験を自身のギタープレイにつながる最初の一歩として振り返っています。
高校時代にはKool & the Gangのライブも体験し、ファンクやブラックミュージックを深く聴くようになりました。
ギターという意味では、Red Hot Chili PeppersとJohn Fruscianteも大きな存在でした。
内田と長谷部は中学・高校の同級生で、文化祭などで一緒にコピー・バンドを組んでいました。
最初からKroiのような音を目指していたわけではありませんが、音楽を続けるうちに好きなものが近づき、「この先も一緒にやろう」という関係になっていきます。
関将典と益田英知|大学期からブラックミュージックへ
ベースの関将典は、高校卒業までバスケットボールと勉強を中心に過ごし、本格的に楽器へ向かったのは大学進学後でした。
音楽が好きで、その中でもベースを格好いいと感じたことから楽器を手にし、大学1年のころには近所の楽器店へ通うようになります。
やがてその店で働くようになり、Rage Against the Machineをはじめ、ファンク、R&B、ディスコなど幅広い音楽を掘っていきました。
益田英知はASIAN KUNG-FU GENERATIONやOasisなどを聴いたあと、YouTubeでJohnny Winterの演奏に出会ったことからブルースへ深く入っています。
ドラマーでありながらJohnny Winterに強く惹かれ、ブルースの自由さや感情の出し方そのものを好むようになりました。
関と益田は同じ大学に通っていましたが、学生時代から親しい音楽仲間だったわけではありません。
大学では同じゼミに所属していた程度の関係で、卒業後に関から益田へ「一緒に音楽をやらないか」と声をかけたことから、2人で曲を作るようになりました。
千葉大樹|ピアノと電子音楽からKroiの音作りへ
キーボードの千葉大樹は、父親の車で流れていた山下達郎やMichael Jacksonなどを幼いころから耳にしていました。
ピアノも習っていましたが、ピアノ・デュオLes Frèresのライブを観たことをきっかけにブギウギを自分で弾くようになり、その後はトラック制作やアレンジにも進んでいます。
バンドへ入る前には、楽曲のアレンジなど制作側の仕事にも関わっていました。
本人によれば、バンドでライブをした経験はKroiが初めてで、ステージに立ったのは子どものころのピアノ発表会以来だったといいます。
バンドマンとしてではなく、音を作る側からKroiへ入ってきたことは、ほかの4人とはかなり違う経歴でした。
2018年2月|InstagramのDMが4人をつなぎKroiを結成
別々に音楽を続けていた2組をつないだのは、ライブハウスでも学校でもなくInstagramでした。
長谷部と関がInstagramの演奏動画を通じてつながっていたことから、Kroi結成の話が動き始めます。
長谷部から関へのDM、関が益田を誘って初セッション
長谷部と関は、互いに演奏動画へハッシュタグを付けてInstagramへ投稿していたことからフォローし合うようになりました。
直接会ったことはありませんでしたが、内田と長谷部がやっていたバンドでベースが必要になったタイミングで、長谷部が関へDMを送ります。
そのころ関は、すでに益田と一緒に音楽をやろうとしていました。
そこで「益田も一緒なら」という形で話が進み、内田、長谷部、関、益田の4人がスタジオへ集まります。
演奏してみるだけでなく、その後に好きな音楽について話してみると、これまで聴いてきたものにも重なる部分が多くありました。
内田にとっても、これは以前のバンドへ新しいメンバーを足すだけの話ではありませんでした。
本当にやりたかったことができるんじゃないかと思って。
出典:Mastered「Lee『101』とKroi – 新時代のクロスオーバーを掲げるバンドが語るスタンダード -」
それまでの音楽性から方向を変え、4人で新しいバンドを作ることになりました。
「踊れる音楽」を軸にジャンルを絞らないバンドへ
Kroiは、結成時に「このジャンルを演奏するバンド」と細かく決めていません。
関は初期の方向性について、あえて挙げるなら「踊れる音楽」であり、ファンクやディスコの要素が自然に入っていったと説明しています。
内田と長谷部が以前やっていたロック寄りの音楽に、関と益田が持っていたグルーヴやブラックミュージックの感覚が合流しました。
4人が初めて集まった時点ではオリジナル曲もありませんでしたが、その日のうちにバンド名だけでなくライブをする話まで進んでいます。
実際、Kroiとしての初ライブは2018年2月の新宿red clothでした。
この時点ではKroiのオリジナル曲がなかったため、内田・長谷部側と関・益田側が以前演奏していた曲を1曲ずつ持ち寄り、スチャダラパーやDaft Punkのカバーも加えた4曲を演奏しています。
初ライブ時には、内田・長谷部の前身バンドにいた人物がサンプラーを担当していた時期もありましたが、早い段階で離れています。
Kroiの名前は「黒い」から生まれた
バンド名を決めたのも、4人が初めて集まった日でした。
スタジオを終えたあとに入った中華料理店で名前を相談し、益田が以前から持っていた候補の「Kroi」を改めて提案しています。
名前の核になったのは、自分たちが聴いてきたブラックミュージックを日本人なりに昇華するという発想から生まれた「黒い=Kroi」です。
そこには後に、いろいろな音楽ジャンルの「色」を取り入れ、すべての色を混ぜると黒になるという意味も重ねられました。
「クロイ」というシンプルな響きの中に、最初から特定ジャンルへ閉じないバンドの考え方が入っています。
2018年|「Suck a Lemmon」からKroiの活動が動き出す
最初のライブを終えたころ、Kroiにはまだまとまった持ち曲がありませんでした。
新宿red clothで再び出演する機会があり、そこで演奏したオリジナル曲のひとつが、後に1st Singleとなる「Suck a Lemmon」です。
最初のオリジナル曲は益田発案の「Suck a Lemmon」
メンバーは「Suck a Lemmon」を、Kroiとして最初に作った楽曲として振り返っています。
このころは内田が中心になって曲を書く後年の制作体制とは異なり、益田が「クラビネットを使った曲を作りたい」と考えたところから制作が始まりました。
「Suck a Lemmon」は2018年10月17日に1st Singleとしてリリースされています。
結成した年のKroiを実際の演奏で見られる記録として、公式YouTubeには2018年の六本木Varitで撮影された同曲のライブ映像も残されています。
結成2か月で最終審査まで進み、そこで一度つまずいた
Kroiは結成から約2か月後、「出れんの!?サマソニ!? 2018」へ応募しました。
ところが、この時点で持っていたオリジナル曲はまだ2曲ほどでした。
持ち曲が2曲しかないのにアンケートに〈10曲ある〉って書いて
出典:Mikiki「Kroi『LENS』ここまでが人生の第一章――メジャー初作の全曲制作秘話から紐解く5人の野望」
勢いで応募したところ、Kroiは最終30組まで残ります。
結成直後にそこまで進んだものの、最終審査では落選しました。
結成直後のオーディションで最終審査まで進みながら落選し、その後は約2か月、バンドとしてほとんど動けない時期を経験します。
ライブハウスからの誘いをきっかけに活動を続けた
止まっていたKroiを再びライブへ向かわせたのは、オーディションで演奏を見ていたライブハウス側からの連絡でした。
渋谷LUSHなどから声をかけてもらったことで、「まだやれることがある」と活動を再開します。
そこからは自分たちでもライブハウスへ連絡し、演奏する場所を増やしていきました。
華やかなデビューから一直線に進んだのではなく、最初のオーディションで止まり、ライブハウスを回りながらもう一度積み上げていった時期がありました。
2019年|SUMMER SONIC出演と千葉大樹加入で5人体制へ
2018年の落選後、Kroiは約1年間ライブを重ねました。
翌2019年には再びオーディションへ挑み、今度はSUMMER SONICのステージへ進みます。
同じ年には1st EP『Polyester』の制作を通じて、後に5人目のメンバーとなる千葉大樹とも深く関わるようになりました。
2度目の挑戦でSUMMER SONIC 2019へ
前年は最終審査で落選した「出れんの!?サマソニ!?」でしたが、2019年の挑戦では審査を通過し、SUMMER SONIC 2019への出演を果たしました。
関は後のインタビューで、実際のステージでは前方2列が埋まるかどうかという程度の観客数だったと振り返っています。
それでも、前年には届かなかったステージへ1年後に立ったという事実は、初期Kroiの活動を区切る出来事のひとつになりました。
『Polyester』のミックス・アレンジから千葉が関わる
千葉がKroiへ関わるきっかけは、メンバー募集ではありませんでした。
2019年9月に発表した1st EP『Polyester』を制作する際、ミックスやマスタリングができる千葉へ作業を依頼したことから関係が始まります。
千葉自身も、完成前の『Polyester』を聴いて「このバンドがやりたいことをもっと音にできる」と感じ、ミックスやアレンジへ踏み込んでいきました。
さらに鍵盤を入れ、ライブにもサポートとして参加するようになります。
千葉は「5人目を探していたから」加入したのではなく、『Polyester』の音作りを担ったことからKroiの中へ入っていきました。
それまで同期音源に合わせて演奏していた部分を、千葉の鍵盤によって生演奏へ置き換えられるようになったことも、バンド側にとって大きな変化でした。
2019年12月の加入でKroiは5人体制へ
何度かライブをともにしたあと、Kroiは千葉を正式メンバーへ迎えます。
千葉大樹が加入したのは2019年12月です。
本人はもともとバンド活動を強く望んでいたわけではありませんでしたが、『Polyester』へ関わる中でKroiの楽曲を改めて聴き、メンバーとの相性も含めて「一緒にやるのは面白そうだ」と感じるようになりました。
千葉が加わったことで、鍵盤だけでなくミックスやアレンジまでメンバー内部で細かく共有できるようになります。
2018年に4人を中心に始まったKroiは、ここで内田怜央、関将典、長谷部悠生、益田英知、千葉大樹の5人体制になりました。
2021年|『LENS』でメジャーデビュー
5人体制になったKroiは、その後もEPや配信作品を発表しながら制作を続けます。
そして結成から約3年後、1st Album『LENS』でメジャーデビューしました。
ポニーキャニオンIRORI Recordsから1st Albumを発表
『LENS』の発売日は2021年6月23日で、ポニーキャニオンのIRORI Recordsからリリースされています。
2018年10月の「Suck a Lemmon」がKroiとしての1st Singleであり、2021年6月の『LENS』がメジャーデビュー作です。
そのため、Kroiの歴史をたどるときは、2018年の最初の作品発表と2021年のメジャーデビューを分けて考えると流れが分かりやすくなります。
異なる5人のルーツがKroiのミクスチャーへ重なった
Kroiのミクスチャーという言葉は、単に複数のジャンルを混ぜたという説明だけでは足りません。
内田はドラムから音楽へ入り、INCOGNITO、B’z、Red Hot Chili Peppersなどを経て、ファンクやヒップホップへ聴く範囲を広げました。
長谷部はロックや映画音楽、INCOGNITO、Nile Rodgers、Kool & the Gangなどへ向かい、関は大学でベースを始めてから楽器店で大量の音楽に触れ、ファンクやR&B、ディスコを掘っています。
益田はロックからJohnny Winterを入口にブルースへ深く入り、千葉は山下達郎やMichael Jackson、ピアノ、ブギウギ、トラック制作やミックスへと進みました。
曲作りでも、内田がデモを作って終わるのではなく、各メンバーが自分のパートを組み直し、スタジオや制作段階で意見を出し合っています。
Kroiの音楽は、全員が同じルーツを持っていたから生まれたのではなく、別々に掘ってきた音楽を持ち寄れる5人が集まったことで成立しました。
その5人で作った最初のフルアルバム『LENS』が、2021年6月23日にKroiのメジャーデビュー作として世に出ました。
2024〜2026年|武道館・海外公演から米Billboardへ
『LENS』以降のKroiは、作品発表を重ねるだけでなく、ライブの規模と活動地域も広げていきました。
その流れを音楽史として見ると、日本武道館やアリーナへの到達、海外公演、かつて影響を受けた音楽家との制作、そして米国チャートへの初登場が一本につながっています。
日本武道館から初のアジアツアーへ
2024年1月20日、Kroiはキャリア初となる日本武道館での単独公演を開催しました。
さらに2025年2月1日には、横浜・ぴあアリーナMMで初のアリーナワンマン公演を開催します。
同年11月にはソウル、台北、バンコクを巡る初のアジアツアー、そしてKroi初の海外ツアーを実施しました。
2026年1月には大阪城ホールと国立代々木競技場第一体育館を巡る初のアリーナツアーを開催し、2会場合わせて約2万人を動員しています。
結成直後にはSUMMER SONICのオーディションで落選し、ライブ活動がほとんど止まった時期もあったKroiですが、ライブハウスから積み重ねた活動は、日本武道館、アリーナ、海外公演へと規模を広げました。
INCOGNITOとの「Kinetic」で原点と海外制作がつながる
海外へ活動を広げる中で実現したのが、UKのジャズ・ファンク・バンドINCOGNITOとの「Kinetic feat. INCOGNITO」です。
きっかけのひとつは、Kroiが2025年にイギリスの音楽フェスティバル「The Great Escape」へ出演したことでした。
渡英するなら現地でレコーディングをしたいという話から、これまで外部プロデューサーを入れずに制作してきたKroiが、初めて外部のプロデューサーとの制作に挑むことになります。
そこで内田が希望したのが、INCOGNITOのリーダーであるBlueyでした。
これは有名な海外アーティストと新しく組んだというだけの出来事ではありません。
内田にとってINCOGNITOは、小学校低学年のドラム発表会をきっかけに知った音楽の初期衝動のひとつ。長谷部にとっても、中学生のギター教室でカッティングを学んだ「Colibri」が最初期の重要な曲でした。
ほかのメンバーもそれぞれの時期にINCOGNITOやアシッドジャズへ触れており、バンド全体にとって長く聴いてきた存在でした。
音楽を始めたころに影響を受けたINCOGNITOと、約20年後にロンドンで同じ作品を作ることになった点で、「Kinetic」はKroiの原点とその後のキャリアがつながった作品です。
Blueyのプロデュースによる「Kinetic feat. INCOGNITO」は、2026年3月23日にリリースされました。
それまでメンバー自身で制作判断を重ねてきたKroiにとって、外部プロデューサーと作品を作ったことも新しい制作段階でした。
「SPIN」でKroi初の米Billboardチャートイン
海外公演やロンドンでの制作を経験した2026年、Kroiのキャリアにもうひとつ固定された記録が加わりました。
アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングテーマとして書き下ろされた「SPIN」です。
「SPIN」は2026年9月24日に配信リリースされました。
そして米Billboardの「Hot Rock & Alternative Songs」2026年10月10日付チャートで44位に初登場しています。
この44位は、Kroiにとって初めて米Billboardのチャートへ入った記録です。
2018年、Instagramを介して集まった4人がオリジナル曲もほとんどない状態から始め、翌年に千葉が加わり、2021年に『LENS』でメジャーデビュー。その後は日本武道館やアリーナ、アジアツアー、ロンドンでの制作へと活動の範囲を広げてきました。
「SPIN」の米Billboard初登場は、そうした積み重ねの先で、Kroiの楽曲そのものが米国のチャートに名前を残した最初の出来事になりました。

