Kvi Babaの音楽ルーツ|西成の初録音から1万人の武道館まで

Kvi Babaの音楽ルーツを、バンダナ姿の人物イラスト、録音ブース、ライブ会場でたどるビジュアル ソロアーティスト

Kvi Baba(クヴィ・ババ)は、1999年生まれ、大阪府茨木市出身のラッパー/シンガーソングライターです。

「Friends, Family & God feat. G-k.i.d & KEIJU」はBillboard JAPANのHeatseekers Songsで3週連続1位を記録し、2025年には累積再生数1億回を突破しました。

同じ2025年には自身初の日本武道館ワンマンで1万人を動員し、翌2026年には横浜アリーナの単独公演へと会場規模を広げています。

けれど、Kvi Babaは幼いころからラッパーを目指していたわけでも、楽器を演奏して育ったわけでもありません。

音楽の始まりは、高校3年生のころに友人について大阪・西成のスタジオへ行き、流れで初めてラップを録音したことでした。

今回は、Kvi Babaという名前の由来から、家で聴いていた音楽、西成での初録音、SoundCloud、KMやBACHLOGICとの出会い、「TOMBI」「Friends, Family & God」を経て日本武道館へ至るまでの音楽ルーツをたどります。

音楽ルーツ早見表

項目内容
名前Kvi Baba(クヴィ・ババ)
出身1999年生まれ、大阪府茨木市
音楽を始めたきっかけ高校3年生のころ、友人について行ったスタジオで初めてラップを録音
初期活動10代後半からSoundCloudで楽曲を公開
最初のEP2019年2月『Natural Born Pain』
大きな転機「Too Bad Day But…」「TOMBI」「Friends, Family & God」、日本武道館

Kvi Babaの読み方と名前の由来|大阪・茨木で育った音楽の原点

Kvi Babaの読み方は「クヴィ・ババ」です。

大阪府茨木市で育ち、音楽を自分で作り始めるよりずっと前から、家の中には父親が好んで聴く音楽が流れていました。

Kvi Babaは「クヴィ・ババ」|本名カイから生まれた名前

一見すると読み方も意味も想像しにくい「Kvi Baba」ですが、名前の作り方は本人が2019年のインタビューで明かしています。

本人が明かした名前は「カイ(KAI)」で、「KAI」のAを逆さにするとVの形になることから「KVI」という表記が生まれました。

後半の「Baba」は、ババ抜きの「ババ」、つまりトランプのジョーカーが由来です。

ジョーカーはデッキの中で特別な1枚であることから、そこには一人しかいない存在になりたいという思いが重ねられていました。

「KAI」のAをVへ変えた「KVI」と、ジョーカーを意味する「Baba」を組み合わせたのが、Kvi Babaという名前です。

父親の音楽からColdplay、Kanye Westへ

音楽との最初の接点は、自分でラップを始めるより前の家庭にありました。

2019年のFNMNLのインタビューでは、幼いころから音楽が身近にあり、父親が好きな曲をよく聴いていたと振り返っています。

そこから自分で音楽を探すようになり、本人が「初めて自分で探したアーティスト」として挙げたのがColdplayで、作品名は『Parachutes』でした。

ラップで最初に強く惹かれた曲としては、Kanye Westの「Stronger」を挙げています。

ただし、ColdplayやKanye Westを聴いていたから、そのままラッパーを志したわけではありません。

本人は後にジャンルの枠をあまり意識せず、自分自身と向き合って曲を作っていると話しており、最初から「ヒップホップだけ」を入口に音楽へ入った人物ではありませんでした。

高校3年、西成のスタジオで初めてラップを録音

音楽を聴くことと、自分が音楽を作ることの間には、かなり大きな距離がありました。

その距離を一気に縮めた場所が、大阪・西成にあったスタジオです。

ひとりで書いていた「詩」が音楽になるまで

Kvi Babaは音楽活動を始める以前から、自分の中にたまった感情をひとりで紙やメモに書き出していました。

それは最初から歌詞を書くための作業ではなく、本人の説明では、心をコントロールするために感情を殴り書きするようなものだったといいます。

高校3年生のころ、友人に連れられてスタジオへ行き、音楽を始めるつもりもないまま、その場の流れでラップを録音しました。

胸の内にためていたものを声として外へ出したことで、それまでひとりで書いていた言葉に別の出口が生まれます。

「自分にも出来ることが何かある」

出典:FNMNL「【インタビュー】Kvi Baba │ ただ心を歌ってる」

誰かに認められる前に、ラップは「自分にもできることがある」と本人自身が感じられた表現でした。

楽器が苦手でも、なぜかラップだけはできた

この始まりを印象的にしているのが、それ以前の音楽経験です。

EYESCREAMのインタビューでは、小学生のころはリコーダーやカスタネットすらまともにできず、自分が音楽をできるとは思っていなかったと話しています。

ところが、西成のスタジオでは「なぜかラップはできた」と感じ、その体験をきっかけにスタジオへ通うようになりました。

本人は当時、大阪のヒップホップシーンの中心にいたわけではなく、むしろ家でひとりで過ごすことが多かったとも振り返っています。

友人について行った一度の録音から、自分の言葉を音楽に変える時間が少しずつ増えていきました。

SoundCloudから『Natural Born Pain』へ|KMとBACHLOGICとの出会い

スタジオへ通い始めたあと、Kvi BabaはSoundCloudへ楽曲を公開するようになります。

ただし、Kvi Babaの「活動開始年」は資料によって2017年と2018年の両方が登場するため、ひとつの年へ無理にまとめない方が実態に近いです。

2017〜2018年、SoundCloudで始まった活動

2019年のEYESCREAMでは、2017年からSoundCloudで楽曲を発表してキャリアを始めたと紹介されています。

一方、2019年2月のFNMNLで本人は音楽活動を始めた時期を「ちょうど一年前」と振り返り、2021年の音楽ナタリーも2018年デビューと紹介しています。

SoundCloudへの投稿開始、音楽活動が本格化した時期、作品としてのデビューを同じ意味で扱わなければ、10代後半の2017〜2018年に活動が形になっていった流れとして整理できます。

そしてSoundCloudは、ただ作品を置く場所ではなく、人との出会いを生む場所にもなりました。

楽曲を公開していた時期にMinchanbaby.から連絡を受け、その後、レーベルForTune Farmを手がけていたKLOOZを紹介されたことを本人が明かしています。

ネット上に置いた音源が、スタジオの外にいる人たちとの接点になっていきました。

KMとの1st EP、BACHLOGICとの長い制作関係へ

2019年2月22日、Kvi Babaは1st EP『Natural Born Pain』をリリースします。

全4曲をプロデュースしたのはKMで、Kvi BabaはKMのサウンドについて、人間味や温かさを感じるところに魅力があると話していました。

その約1か月後の3月22日には2nd EP『19』を発表し、「Planted in Problem」などでBACHLOGICとの制作が始まります。

同年9月の1stフルアルバム『KVI BABA』では、BACHLOGICが全曲のプロデュースとミックスを担当しました。

以後もBACHLOGICとの制作関係は続き、2021年の『Toge ni Bara』、2023年の『Jesus Loves You』へとつながっていきます。

「距離感の近い先生みたいな感じです」

出典:音楽ナタリー「Kvi Baba『Toge ni Bara』インタビュー|問題だらけの自分と向き合いながら音楽を生み出す新鋭アーティストが語る“歌う理由”」

2021年には大阪から東京へ移ったあともBACHLOGICの近くで制作を続け、トラックだけでなく、その考え方からも影響を受けていると語っています。

「Too Bad Day But…」から『Jesus Loves You』『TOMBI』へ

Kvi Babaの初期作品には、自分の中にある痛みや不安をそのまま外へ出すような言葉が多くありました。

制作を重ねるにつれて、その痛みを消すのではなく、音楽の中で別のエネルギーへ変える方向がはっきりしていきます。

ネガティブをポジティブへ変える音楽

2019年の1stアルバム『KVI BABA』について、本人は自分の心の中をそのまま吐き出しているからこそ、結果として一貫した物語になったと説明しています。

また、ネガティブな言葉であっても、音楽にして外へ出す行為そのものがポジティブな方向への変換になるという考えも語っていました。

その変化が作品として分かりやすく表れたのが、2021年の『Toge ni Bara』に収録された「Too Bad Day But…」です。

同年にはAKLOとKEIJUを迎えた「Too Bad Day But…(Remix)feat. AKLO & KEIJU」が発表され、長く聴かれる楽曲のひとつになりました。

音楽的なルーツも、幼少期に聴いた曲だけで止まってはいません。

2023年のJ-WAVEでは、LANYの「I Still Talk To Jesus」を自身を形成するルーツの一曲として挙げ、苦しい時期に出会ったこの曲と、クリスチャンとしての自分の音楽について語っています。

19歳で生まれた「TOMBI」が数年後の転機に

「TOMBI」が世に出たのは2023年ですが、その原型はもっと早く、Kvi Babaが19歳だったころに作られていました。

水戸のスタジオでBACHLOGIC、ギタリストのUK a.k.a AMP Killerと3人で制作していた時期に生まれた曲で、本人は当時から手応えを感じながらも、すぐにはリリースしなかったと振り返っています。

数年後、テレビアニメ『TRIGUN STAMPEDE』の主題歌オファーを受けたことで、この曲を思い出し、サウンドをアップデートして録音し直しました。

19歳で作った曲が時間を置いて呼び戻され、2023年1月6日にメジャー1stシングル「TOMBI」としてリリースされたという経緯です。

アニメを通じて海外からの反応も増え、それまでとは違う層へKvi Babaの名前が届くきっかけにもなりました。

同年3月31日には、全12曲をBACHLOGICがプロデュースしたメジャー1stアルバム『Jesus Loves You』を配信リリースし、CD版は5月31日に発売されています。

ここでいう「メジャー1st」には少し補足が必要で、本人は過去にもメジャーで作品を出していたものの、今回は新しいスタートとしてあえて「メジャー」を掲げたと説明しています。

2019年からの活動を消して「2023年に突然メジャーデビューした」と見るのではなく、本人が『Jesus Loves You』を新しい章の始まりとして位置づけたと考える方が自然です。

「Friends, Family & God」から1万人の武道館へ

「TOMBI」の次に、Kvi Babaの聴かれ方をさらに大きく変えた曲が「Friends, Family & God feat. G-k.i.d & KEIJU」でした。

2024年8月7日、Kvi Baba自身の誕生日にリリースされた楽曲です。

G-k.i.d、KEIJUとの制作合宿から生まれたロングヒット

参加したのはKvi Baba、G-k.i.d、KEIJUの3人で、BACHLOGICがトラックを手がけました。

楽曲では友人や仲間、家族という身近な存在が歌われ、その制作の背景には3人で過ごした制作合宿があります。

柿本ケンサクが監督したミュージックビデオも、その制作合宿の空気感を映像として表現する形で作られました。

リリース後、「Friends, Family & God」はBillboard JAPANのHeatseekers Songsで初の1位を獲得し、そのまま3週連続で首位を記録します。

一時的なチャート上昇で終わらず、2025年12月にはオリコン週間ストリーミングランキングで累積再生数1億回を突破しました。

西成のスタジオで自分のために始まった音楽が、友人や家族、神への思いを歌う曲によって大きな聴き手へ届くようになりました。

武道館、そして1万2500人の横浜アリーナへ

Kvi Babaにとって日本武道館は、自分のワンマンより先に一度立ったことのある場所でした。

2021年1月、ZORNの日本武道館ワンマンにゲスト出演し、本人はその経験によって、自分のやっていることは間違っていないと思えたと振り返っています。

そこから4年後の2025年8月13日にはメジャー2ndアルバム『Shout Out to Jesus』を発表し、8月28日に自身初となる日本武道館ワンマン「Shout Out to Jesus」を開催しました。

この公演には1万人が集まり、ゲストとして立ったことのある武道館へ、今度は自分の名前を掲げて戻る形になりました。

そして2026年8月27日、単独公演「Shout Out to Jesus in YOKOHAMA ARENA」を横浜アリーナで開催します。

公演は満員となり、KREVAがサプライズゲストとして登場したステージを含め、1万2500人の観客が集まりました。

高校3年生で友人について行ったスタジオから始まったKvi Babaの音楽は、2026年8月27日、1万2500人が集まる横浜アリーナの単独公演まで届きました。

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