| メンバー | 担当 |
|---|---|
| タブゾンビ | トランペット |
| 日向秀和 | ベース |
| 伊澤一葉 | ピアノ・キーボード |
| 柏倉隆史 | ドラムス |
KATSINA SESSION(カチナセッション)は、SOIL&“PIMP”SESSIONS、ストレイテナー、東京事変、toeなどで活動する4人のミュージシャンが集まったインストゥルメンタルバンドです。
その始まりは、2016年の大阪。ライブハウス「ミスターケリーズ」の正月企画で、この4人によるセッションを行いたいという発想から生まれました。
あらかじめ完成した曲を演奏するのではなく、その場で互いの音を聴きながら音楽を作っていく。そんな完全即興の活動を続け、2022年にはライブ音源を残し、2025年には初アルバム『NiiN』を発表しました。
4人はなぜ集まったのか。即興演奏を中心にしていたバンドが、どのようにアルバム制作へ進んだのか。結成当時を振り返る本人の言葉から、その歩みをたどります。
| 音楽史の段階 | KATSINA SESSIONの歩み |
|---|---|
| 結成前の音楽活動 | 4人がそれぞれ異なるバンドや音楽シーンで演奏経験を重ねる |
| 結成・活動開始 | 2016年、大阪のミスターケリーズでのセッションをきっかけに始動 |
| ライブ活動の広がり | 即興演奏を続け、2021年にはビルボードライブ横浜やブルーノート東京などに出演 |
| ライブ音源の記録 | 2022年2月11日の札幌公演を録音。後に5曲入りCD『Katsina Session』として商品化 |
| 初アルバム | 2025年3月3日、『NiiN』を配信。3月8日にCDの先行販売を開始 |
| アルバム発表後 | 2025年、結成10周年イヤーを記念したツアーを実施 |
KATSINA SESSIONは2016年の大阪で生まれた
KATSINA SESSIONが活動を始めたのは2016年です。結成の舞台となったのは、大阪にあったライブハウス「ミスターケリーズ」でした。
4人は最初からアルバム制作やメジャーデビューを目指すために集まったのではありません。出発点にあったのは、特定の顔ぶれでセッションを行うというライブの企画でした。
ミスターケリーズの正月企画が結成のきっかけ
2021年3月9日、Billboard JAPANはKATSINA SESSIONのメンバーへのメールインタビューを公開しました。
そこで2016年の活動開始について尋ねられたタブゾンビは、大阪のミスターケリーズで行われた正月企画がきっかけだったと説明しています。
つまり、まず4人で演奏したいという発想があり、そのセッションがバンドの出発点になったということです。
ミスターケリーズは大阪でジャズなどの生演奏を楽しめるライブハウスとして知られていた場所です。そこで生まれたセッションが、一度限りの顔合わせに終わらず、その後も続く音楽活動へ発展しました。
2021年8月のBLUE NOTE TOKYOの紹介でも、大阪のライブハウスでのセッションをきっかけに、2016年に結成されたことが明記されています。
同じ年の年始に大阪で演奏したことは、2025年のReal Soundの記事でも確認できます。結成年と出発点については、当事者の回想と後年の公演紹介が一致しています。
誰が4人を集めたのか――本人証言でたどる結成経緯
結成のきっかけを説明したタブゾンビは、当時の発想を次のような言葉で振り返っています。
このメンバーでセッションをしたいっ!!
タブゾンビ/出典:Billboard JAPAN「タブゾンビ/日向秀和/伊澤一葉/柏倉隆史が集結の完全即興セッションバンド=Katsina Session、ライブ直前メールインタビュー公開」(2021年3月9日)
この発言から分かるのは、4人という顔ぶれそのものに意味があったということです。既存のバンドからメンバーを引き抜いたり、オーディションで編成を決めたりしたという説明ではありません。
ただし、タブゾンビが4人を集める最初の提案者だったのか、企画側から出演依頼があったのか、実際に誰が誰を誘ったのかという細かな経緯は、この発言だけでは確定できません。
4人には結成前から別の音楽活動があり、the HIATUSなど共通の活動上の接点もありました。しかし、その関係が直接の結成理由だったとまでは説明されていません。
確かなのは、2016年の大阪で4人がセッションを行い、その顔ぶれでKATSINA SESSIONという活動が始まったことです。
4人の演奏家が持ち寄った音楽とバンドの名前
KATSINA SESSIONの特徴は、4人が同じジャンルのバンドでキャリアを積んできたわけではないことです。
トランペット、ベース、鍵盤、ドラムという編成で、各自がそれまでに経験してきた演奏を持ち寄りました。
それぞれのバンドで培った音楽的な背景
トランペットを担当するタブゾンビは、SOIL&“PIMP”SESSIONSのメンバーです。ジャズを基盤にしながら幅広いジャンルと交わる活動を続け、RADWIMPSやストレイテナーなどの作品にも客演してきました。
KATSINA SESSIONでは、他の3人と同じく、あらかじめ決められたメロディーを再現することに限定されない演奏へ参加しています。
ベースの日向秀和は、ART-SCHOOLやZAZEN BOYSでの活動を経て、ストレイテナー、Nothing’s Carved In Stoneなどで演奏してきたミュージシャンです。
ロックバンドでは楽曲を支える低音やリフが重要な役割を果たします。一方、KATSINA SESSIONでは決まった曲の進行に沿うだけでなく、ベースのフレーズがその場の演奏を動かしていく場面もあります。
2025年7月のReal Soundのコラムでも、日向のベースリフが即興演奏の方向を決めるような場面について触れられています。ただし、日向が常にセッションの進行役を担当するという意味ではありません。
ピアノ・キーボードを担当する伊澤一葉は、自身のバンド「あっぱ」のほか、東京事変やthe HIATUSなどで活動してきました。
ピアノによる和音、旋律、リズムの変化を生み出せる存在であり、鍵盤から出る一つのフレーズが、ほかの楽器の演奏へ新しい方向を示すこともあります。
ドラムの柏倉隆史は、toeやthe HIATUSでの活動に加え、多くのアーティストのレコーディングやライブに参加してきたドラマーです。
細かなリズムの変化や音を鳴らさない間の使い方も、即興演奏では重要になります。一定のビートを維持するだけでなく、周囲の演奏に反応してリズムの表情を変えていくことができます。
こうした4人の組み合わせから、ジャズ、ロック、ファンク、R&Bなど、複数の音楽的要素が交わる演奏が生まれてきました。
ただし、各メンバーが所属してきたバンドの音楽性と、本人が実際に影響を受けた音楽は同じではありません。KATSINA SESSIONの成り立ちを理解するうえでは、それぞれが異なる活動で演奏経験を積んでいたことが重要です。
バンド名「Katsina」の由来とカチナドールの話
「Katsina(カチナ)」という名前は、アメリカ先住民ホピ族の文化に登場する精霊的な存在に由来しています。
ホピ族のカチナは、信仰や儀礼、文化的な伝統に関わる存在であり、カチナドールと呼ばれる人形でも知られています。
2021年8月30日にBLUE NOTE TOKYOが公開したインタビューでは、バンド名の由来を尋ねられたタブゾンビが、カチナドールはどことなくメンバーに似ているという趣旨の答えを返しています。
宗教的な名称の意味を長々と説明するのではなく、4人の姿と人形を重ねた、少しユーモラスな返答でした。
一方で、タブゾンビは音楽的な影響について、特定のバンドやミュージシャンではなく、エジプトのヒエログリフやホピ族の精霊、神聖幾何学模様などを挙げたことがあります。
2021年のBillboard JAPANのインタビューでの発言で、図形や象徴的なイメージから音楽の発想を得ていることがうかがえます。
ただし、これはタブゾンビ本人が語った影響です。4人全員が同じ思想を共有していると断定したり、ホピ族の伝統音楽を直接取り入れていると説明したりすることはできません。
バンド名に選んだ文化的なモチーフと、実際の演奏で何を表現しているのかは区別して理解する必要があります。
完全即興という演奏スタイルはどう生まれたのか
KATSINA SESSIONは、結成当初から完全即興のセッションバンドとして活動してきました。
4人の演奏経験を持ち寄り、あらかじめ用意された曲の進行だけに頼らず、その場で生まれる音から演奏を展開していくスタイルです。
曲を決めず、その場の音を受け取るセッション
2021年のBillboard JAPANのインタビューでは、完全即興のスタイルがどのように決まったのかという質問も行われています。
タブゾンビは、それをごく自然なことだったと説明しました。夏が暑く、冬が寒いことを例に挙げるほど、4人にとって自然に決まった方法だったという認識です。
この発言からは、完全即興が特別な話題作りのために選ばれたとまでは読み取れません。もともとセッションを行うために集まった4人にとって、その場で演奏を作ることが自然な出発点だったと考えられます。
一般的なバンドのライブでは、観客が知っている曲を演奏し、アレンジや演奏の違いを楽しむことが多くあります。
それに対して、結成初期のKATSINA SESSIONが中心にしていたのは、演奏が始まるまで完成形の分からない音楽でした。
例えば、ベースがフレーズを鳴らしたところへドラムが反応し、鍵盤やトランペットが加わる。そこからリズムや旋律が変化し、最初とは異なる展開が生まれることもあります。
これは即興演奏の仕組みを説明した例であり、実際のKATSINA SESSIONで毎回この順番に演奏が始まるという意味ではありません。
2021年のBLUE NOTE TOKYOのインタビューで、タブゾンビは当時の活動について、すべてがセッションであり、決まった楽曲の制作は行っていないと説明していました。
つまり、少なくともその時期の活動では、先に完成した楽曲を用意するより、ライブの場で何が生まれるかを大切にしていたのです。
タブゾンビと伊澤一葉が語る即興の考え方
タブゾンビは2021年のBLUE NOTE TOKYOのインタビューで、演奏の考え方を短い言葉で表しています。
大事なのは、その場の振動をキャッチすること。
タブゾンビ/出典:BLUE NOTE TOKYO「【公演直前インタビュー】Katsina Session」(2021年8月30日)
その場で生まれた音や空気の変化を、次の演奏につなげていく。タブゾンビは、メンバー同士が言葉にしなくても反応し合う様子を、テレパシーなどの表現を使って語っています。
もちろん、これは演奏時の感覚を伝える比喩的な言葉です。科学的な意味でテレパシーを使っているという説明ではありません。
タブゾンビの発言には、長年の演奏経験を積んだ4人だからこそ、その場の音を受け取って音楽を作れるという考え方が表れています。
一方、伊澤一葉は2021年のBillboard JAPANのインタビューで、楽器を演奏する人への助言として、まず頭の中で音をイメージすることの重要性を語っています。
演奏技術だけを先に考えるのではなく、自分が鳴らしたい音を頭の中で捉え、その音を表現することを重視する考え方です。
伊澤は、楽器が弾けなくても音楽を表現できる技術が広がったことにも触れ、音をイメージする力と表現する手段の関係を説明していました。
この発言はKATSINA SESSIONだけの演奏手順を説明したものではありません。しかし、伊澤自身が音楽をどのように捉えているのかを理解する手がかりになります。
周囲の音を受け取ることと、自分の中にある音のイメージを表現すること。 2人の言葉からは、即興演奏を支える異なる視点が見えてきます。
ただし、実際のセッションで誰が最初の音を出すのか、誰が曲の展開を決めるのかといった固定的な役割分担があるとは確認されていません。
4人の反応によって演奏が変化することこそが、このバンドの特徴です。
ライブを重ね、セッションを音源として残すまで
2016年に大阪で始まったKATSINA SESSIONは、その後もライブを中心に活動を続けました。
それぞれが別のバンドでも活動している4人にとって、KATSINA SESSIONは決まった曲を繰り返し演奏する場とは異なる音楽活動でした。
共演やクラブ公演で広がった活動
結成後のライブでは、4人による即興演奏に加えて、ほかのミュージシャンとの共演も行われました。
2022年3月のCOTTON CLUBの公演紹介では、KATSINA SESSIONがそれまでにYasei Collectiveと共演し、元Dragon AshのATSUSHIとのコラボレーションも経験していたことが紹介されています。
こうした活動は、4人の正式メンバーが変更されたということではありません。KATSINA SESSIONという活動の中で、異なる演奏家や表現者と音楽を作る機会があったということです。
2021年3月12日には、ビルボードライブ横浜で「オカチな街」と題した公演を開催しました。
当初は2ステージが予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を受けて夜の公演が中止となり、18時開演の公演のみが実施される予定へ変更されています。
この公演を前に行われたBillboard JAPANのインタビューが、結成のきっかけや即興演奏への考え方を本人の言葉で知る重要な記録となりました。
同じ2021年の9月9日には、ブルーノート東京にも初登場しています。
BLUE NOTE TOKYOは公演前の紹介で、4人が不定期にライブを重ね、ジャンルを超える演奏を生み出してきたことを伝えました。
2022年3月にはCOTTON CLUBでの初公演も実現。さらに2023年、2024年にも同会場で公演が組まれています。
一つのライブ会場だけで活動を続けていたわけではなく、即興演奏を軸にさまざまな場所で音楽を届けてきたのです。
2022年の札幌ライブを収めたCD『Katsina Session』
完全即興の演奏は、その場にいた人だけが体験できるものです。しかし、ライブの音を録音すれば、別の場所や時間でも聴くことができます。
KATSINA SESSIONには、2022年2月11日の札幌公演を収録したライブCD『Katsina Session』があります。
Believe Music STOREの商品情報には、札幌で録音されたライブ音源を5曲収録したCDと明記されています。商品番号は「KS-004」です。
この音源が記録しているのは、2022年2月11日のライブです。録音日とCDの発売日は別の出来事であり、録音日をそのまま発売日と考えることはできません。
また、このライブCDがあるため、2025年の『NiiN』をKATSINA SESSIONが初めて発売した音源と説明するのは正確ではありません。
2022年の『Katsina Session』はライブで生まれた音を収録した作品。一方、2025年の『NiiN』は初のアルバムとして発表された作品です。
一度きりのライブを記録することと、アルバムとして音楽を制作すること。 KATSINA SESSIONは、この2つの形で自分たちの演奏を残していくようになりました。
2016年のセッションから始まった4人の活動が、ライブ会場の外でも聴ける音源へと広がったことは、その音楽史をたどるうえで重要な出来事です。
初アルバム『NiiN』に結実した4人の音楽
2025年3月3日、KATSINA SESSIONは初アルバム『NiiN』を配信リリースしました。
2016年の活動開始から、およそ9年。ライブでの即興演奏を中心にしてきた4人が、アルバムという形で作品を発表しました。
作品を残したいという思いからアルバムへ
『NiiN』の発表より4年前、タブゾンビは2021年3月のBillboard JAPANのインタビューで、セッションについて興味深い考えを語っていました。
その場でしか味わえない瞬間を大切にしながらも、この4人で作品を残したいという思いがある。そして、作品を作るとしてもKATSINA SESSIONならではのスタイルを保ちたいという内容でした。
当時は、BLUE NOTE TOKYOのインタビューでも、決まった楽曲制作を行っていないと説明されていた時期です。
そのため、作品を残したいという言葉は、ライブ中心の活動と録音作品の制作が対立するものではないことを示していました。
ただし、この2021年の発言が直接『NiiN』の制作開始を決定づけたとまでは確認されていません。
それでも、ライブの瞬間性を大切にしながら作品も残したいという2021年の考えが、2025年には初アルバムという形で実現したことは確かです。
2025年2月25日には、バンド公式Xアカウントが『NiiN』の発売決定を発表しました。配信開始日とCD先行販売の予定を伝えた、初アルバムの発表記録です。
アルバムは3月3日に配信され、同年3月8日の「HINA-MATSURI 2025」神田明神ホール公演からCDの先行販売も始まりました。
「HINA-MATSURI」は日向秀和が主催するイベントで、2025年にはKATSINA SESSIONがホストバンドを務めています。
ライブをきっかけに誕生した4人の活動が、長年のセッションを経て音源制作とイベントでの作品発表へつながりました。
TAGO STUDIO TAKASAKIでのレコーディング
『NiiN』の制作に関わる場所の一つが、群馬県高崎市のレコーディングスタジオ「TAGO STUDIO TAKASAKI」です。
このスタジオは高崎市が設置した施設で、音楽プロデューサーの多胡邦夫が運営責任者を務めています。生演奏の録音文化を大切にし、アーティストが十分な環境でレコーディングできることを重視したスタジオです。
2025年3月9日、同スタジオの公式YouTubeチャンネル「TAGO STUDIO CHANNEL」は、KATSINA SESSIONのインタビュー映像を公開しました。
動画のタイトルは「INTERVIEW WITH “KATSINA SESSION” / TAGO STUDIO TAKASAKI」。公式の動画説明では、初アルバム『NiiN』のレコーディングの様子とメンバーへのインタビューを収めたものとして紹介されています。
ライブ会場では、演奏がその場で生まれ、終われば同じ形では繰り返せません。一方、スタジオで録音した演奏は、一つの作品として残り、何度でも聴くことができます。
『NiiN』の制作を考えるうえで重要なのは、録音作品を発表したことと、即興演奏を中心としてきた活動の関係です。
ライブでの完全即興と、スタジオで制作した楽曲が、すべて同じ手順によって作られたとは限りません。
実際、配信サービスの作品情報では、アルバムに収録された「Butterfly dance」の作曲者として伊澤一葉がクレジットされています。一方、「Hopi」「Totem」「Naki Naki」などにはKATSINA SESSION名義の作曲クレジットが記されています。
こうしたクレジットからも、アルバムの制作を単にライブの即興演奏を録音したものと同一視することはできません。
ただし、クレジットだけでは、それぞれの曲について誰が最初のフレーズを考えたのか、全員がどの程度アレンジに参加したのか、録音前にどこまで構成が決まっていたのかは分かりません。
確かなのは、4人の演奏を作品として残すため、TAGO STUDIO TAKASAKIでレコーディングが行われ、その様子が公式映像として公開されたことです。
7曲の配信とCD版に刻まれた音楽の歩み
『NiiN』は、配信版とCD版で収録内容の表記に違いがあります。
2025年3月3日にリリースされた配信版は、Qobuzなどの音楽配信サービスで7曲入りとして登録されています。
曲目は「Hopi」「Butterfly dance」「Totem」「Naki Naki」「Neon drip」「Snake maze」「pömöq」の7曲です。
一方、Believe Music STOREで販売されているCD版には、これらの7曲に加えて「S.O.K!!!!」が8曲目として記載されています。販売情報にはCD特典音声付きという案内もあります。
そのため、配信版を8曲入りとしたり、CD版も配信版と同じ7曲だけだと説明したりすると、実際の作品情報と一致しません。
作品全体を見ると、アルバム名や曲名にもKATSINA SESSIONらしいモチーフが使われています。
例えば「Hopi」は、バンド名の由来とも関係するホピ族を思わせる題名です。「Totem」や「pömöq」といったタイトルも並んでいます。
ただし、曲名が特定の文化や象徴を連想させることと、作曲者がその意味を作品へ込めたことは別です。個々の楽曲の制作意図を、タイトルからだけで断定することはできません。
アルバムの音楽性について、2025年7月のReal Soundのコラムでは、冒頭曲「Hopi」のトランペット、ピアノとリズムが交わる「Butterfly dance」、6分を超える「Totem」など、曲ごとの演奏の違いが紹介されています。
ジャズやロックなどの要素が交わりながらも、曲ごとに異なる表情を持つ作品として聴くことができます。
2025年には『NiiN』を携えた結成10周年イヤーのツアーも開催され、7月17日にビルボードライブ横浜、8月20日にはビルボードライブ大阪で公演が行われました。
大阪公演にはASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文がゲストとして参加し、KATSINA SESSIONの演奏とポエトリーリーディングを組み合わせた共演も実現しました。
4人だけで行う完全即興のセッションから、録音作品の制作、そしてゲストとの共演へ。活動の形は広がっていますが、そこには結成当初からの共通点があります。
それは、異なる経験を持つ演奏家が同じ場所に集まり、互いの音から新しい音楽を生み出すということです。
2016年の大阪で始まったセッションは、2022年にはライブ音源として記録され、2025年には『NiiN』という初アルバムになりました。
「この4人でセッションをしたい」という最初の発想から、9年をかけて一枚のアルバムが生まれた。
KATSINA SESSIONの音楽史には、ライブの一瞬を大切にする姿勢と、その演奏を作品として残していく歩みの両方が刻まれています。

