jo0jiの音楽ルーツ|母のピアノと友人への「不屈に花」から始まった音楽

jo0jiの音楽ルーツを、人物イラストとピアノ、レコード、「不屈に花」の文字でたどるビジュアル ソロアーティスト

鳥取県出身のシンガーソングライター・jo0ji(ジョージ)は、作詞・作曲だけでなく編曲も自ら手がけてきたアーティストです。

父親は漁師で、自身も地元の漁港で働きながら音楽を作ってきましたが、子どもの頃からプロの音楽家を目指していたわけではありません。

小学2年生で母親のピアノに触れ、家では両親が中島みゆきや吉田拓郎、柳ジョージ、RCサクセションのレコードを流していた一方、中学・高校時代まで自分で曲を作ろうとは考えていませんでした。

そんなjo0jiを「聴く側」から「作る側」へ動かしたのは、身近な友人たちです。

jo0jiの音楽活動の起点になったのは、落ち込んでいた友人のために初めて完成させた「不屈に花」でした。

今回は、母のピアノや家庭で流れていたレコードから、友人との曲作り、「不屈に花」、1st EP「475」、そして1stアルバム「あえか」まで、jo0jiの音楽がどこから始まったのかをたどります。

jo0jiの音楽ルーツ早見表

時期・段階出来事
小学2年生母親が昔使っていたピアノをきっかけにピアノ教室へ通う
小学4〜5年生ごろ映画を通じてシンディ・ローパーなど、自分から聴く音楽が広がる
曲作りの始まりラップを始めた友人からトラック制作を頼まれる
活動の起点友人のために作った「不屈に花」をYouTubeへ公開。2022年8月3日に配信リリース
2023年9月20日1st EP「475(ヨナゴ)」をリリース
2024年Spotify「RADAR: Early Noise 2024」選出、Ki/oon Musicと契約
2025年7月9日1stアルバム「あえか」をリリース

jo0jiの音楽の原点は、母のピアノと家で流れていたレコード

jo0jiの音楽の始まりをたどると、最初に出てくるのはステージやバンドではなく、鳥取の家にやってきた一台のピアノです。

さらにその家では、両親が酒を飲みながらレコードをかける時間があり、本人が自分で音楽を探し始めるより前から、歌謡曲やフォーク、ロックが生活の中にありました。

小学2年生、母のピアノをきっかけに弾き始める

ピアノを始めたのは小学2年生の頃。母親が昔使っていたピアノを家に持ってきて、「もったいないから」と弾くことを勧められたのがきっかけでした。

特別に音楽家を目指していたわけではなく、「家にピアノが来たから習ってみるか」という程度の感覚で、近所のピアノ教室へ通い始めています。

教室は小学5年生ごろにやめましたが、ピアノそのものから離れたわけではありませんでした。

楽譜を読むのが得意ではなかったため、弾きたい曲が見つかると以前の先生を訪ね、目の前で演奏してもらったものを見て覚えていたそうです。

その方法で覚えた曲には、久石譲の「Summer」やボーカロイド楽曲の「千本桜」もありました。

音楽理論から入ったのではなく、「弾くのが面白い」という感覚が、jo0jiにとって最初の楽器との付き合い方でした。

映画からシンディ・ローパー、家では中島みゆきやRCサクセション

自分から気に入った音楽を聴くようになったのは、小学4〜5年生ごろです。

入口の一つになったのが映画で、『グーニーズ』を通じてシンディ・ローパーを知り、親にCDショップへ連れていってもらって、お年玉でベスト盤を購入しました。

毛皮のマリーズの「Mary Lou」も、ミュージックビデオを見て「映画みたい」と惹かれたことから聴くようになった曲でした。

一方、家で流れていたのは別の音楽です。

両親がレコードで聴いていた中島みゆき、吉田拓郎、柳ジョージ、RCサクセションを繰り返し耳にし、本人も後のインタビューで、それらから曲作りを含めて影響を受けていると明言しています。

RCサクセションの『BLUE』や、中島みゆきの『みんな去ってしまった』『愛していると云ってくれ』など、家にあったレコードの記憶も具体的に残っていました。

映画やドラマも音楽の聴き方に影響しており、小学生の頃から『天使にラブ・ソングを…』を繰り返し観ていたほか、『glee/グリー』も好んでいます。

後に編曲を考える際には、『glee/グリー』で既存曲が大きく姿を変える面白さから受けた影響についても語っています。

中高時代は音楽好きでも、自分で曲を作るとは考えていなかった

ここまで音楽が身近にありながら、中学・高校時代のjo0jiは「ミュージシャンになりたい」と考えていたわけではありません。

中学3年生の頃にはRADWIMPS、高校2〜3年生の頃にはエレファントカシマシのライブを観ていますが、その刺激からバンドを始めることもありませんでした。

本人は小中高時代について、音楽はずっと好きだったものの、作るところまでのめり込むことはなく、熱中するものや具体的な夢もなかったと振り返っています。

放課後には家の前の海で、友人と特に何をするでもなく過ごすこともあったそうです。

ピアノを弾き、さまざまな音楽を聴き、ライブにも足を運んでいた。それでもまだ、自分が音楽を作る側になる発想はなかったというのが学生時代までの姿でした。

友人との遊びから、初めて「自分の曲」を作るまで

自分で曲を作る直接のきっかけも、音楽学校やオーディションではありませんでした。

始まりは、身近な友人とのやり取りです。

ラップを始めた友人に頼まれ、初めて曲を作る

あるとき、ラップを始めた友人から「ピアノが弾けるならトラックを作ってみて」と頼まれます。

ループするラップ向けのトラックをそのまま作るのでは面白くないと考え、Aメロ、Bメロ、サビのある形まで作ってみました。

ところが、完成したものを聴いて「ラッパーの友人には合わないかもしれない」と感じます。

そこで、せっかく作ったのだからと自分で歌ってみることにしました。

「ピアノが弾けるなら作ってみて」という友人のひと言が、jo0jiを音楽の“聴き手”から“作り手”へ動かしました。

長くピアノを弾いてきた経験はありましたが、ここで初めて、自分のための音楽制作が具体的な行動になります。

落ち込んだ友人への「不屈に花」が音楽活動の原点になった

曲を作ってみようとしていた時期、今度は別の友人が落ち込んでいました。

その友人を励ますため、「名言っぽいものを入れた応援歌を作ろう」と考えて生まれたのが、最初に完成させた楽曲「不屈に花」です。

最初から大切なデビュー曲を作ろうと構えていたわけではありません。

「最初はネタのつもりだったんです。」

出典:Real Sound「jo0jiに初インタビュー 漁港での暮らしが与える影響から音楽的ルーツまでを語り尽くす」

友人へLINEで送った時点では1番までしかありませんでしたが、相手から思いのほか良い反応が返ってきたため、その先を真面目に作り込み、現在知られる形へ仕上げました。

曲を作ったのは桜が散り始める時期で、地面に落ちた花びらを見た際、祖父から昔聞いた桜についての言葉を思い出したことも、楽曲のイメージに結びついています。

公式プロフィールでも、友人のために制作した「不屈に花」をYouTubeへ公開したことが、jo0jiの活動のスタートとして紹介されています。

「不屈に花」はその後、2022年8月3日に配信シングルとしてリリースされました。

この一曲は、後に1st EP「475」へ新録版が収録され、さらに2024年には地元・鳥取で撮影されたミュージックビデオも制作されています。

曲を作る理由も、その後に大きく変わったわけではありません。

活動が広がった後も、「この曲はあの友人が好きそうだ」と身近な人を思い浮かべながら作ることがあると本人は話しています。

YouTubeへ公開するときに「jo0ji」という名義が生まれた

「jo0ji」という活動名が生まれたのも、「不屈に花」をYouTubeへ公開するときでした。

読み方は「ジョージ」です。

すでに「Joji」というアーティストがいたため、中央へアルファベットの「o」ではなく数字の「0」を入れました。

本人によれば、当時は検索で見つけやすいかどうかまで深く考えておらず、数字の0を入れた見た目を気に入って決めたものだったそうです。

つまり、「jo0ji」という名義が先に存在していて「不屈に花」を発表したのではなく、最初の曲を世に出す場面で必要になった名前が、そのまま活動名になりました。

「不屈に花」が鳥取の外へ届き、1st EP「475」へ

身近な友人のために作った一曲は、インターネットへ公開されたことで、地元の人間関係だけでは届かなかった人たちにも聴かれるようになります。

そこから外部のアーティストやクリエイターとの接点が生まれ、jo0ji一人で始めた曲作りは共同制作へ広がっていきました。

インターネットからつながりが広がり、imaseとも出会う

その広がりを示す一人が、シンガーソングライターのimaseです。

jo0ji本人によれば、imaseが「不屈に花」を聴き、リリース時にInstagramのストーリーズでメンションを付けて紹介したことから交流が始まりました。

2022年12月には、imaseがMEN’S NON-NO WEBの連載「今から聴きたいネクストBUZZアーティスト」の第1回でjo0jiを紹介しています。

その一方で、jo0ji自身は鳥取での生活をすぐに手放したわけではありません。

地元の漁港で働きながら、仕事を終えて家に帰って曲を作るという生活を続け、東京へ出向く必要があるときに移動する形で制作を進めていました。

インターネットで音楽は遠くへ届いても、曲を書く場所と日常は鳥取に残っていたという点は、jo0jiの初期活動を理解するうえで欠かせない部分です。

江﨑文武・井上幹と作った「475」は“ヨナゴ”

2023年9月20日、1st EP「475」をリリース。

タイトルの「475」は、そのまま数字で読むのではなく「ヨナゴ」と読みます。

EPではWONKの江﨑文武と井上幹を共同編曲に迎え、「明見」「言焉」「不屈に花」「≒」「cuz」の5曲を制作しました。

最初に一人で作った「不屈に花」も、ここでは新たに録音・編曲されたバージョンで収録されています。

子どもの頃にピアノを弾き、友人とのやり取りから作曲を始めたjo0jiにとって、「475」は外部の編曲家とイメージをすり合わせながら一つの作品へまとめた最初のEPでした。

本人は公式Xで、アーティスト名や作品名の読み方をまとめて説明しています。

「475」という読みを作品名に置いたことからも、地元を離れて別の人物像を作るのではなく、自分が暮らしてきた場所を作品へ持ち込んでいたことが伝わります。

Spotify RADAR選出とKi/oon Music契約が次の転機に

「475」を発表した翌年の2024年1月、jo0jiはSpotifyの次世代アーティスト支援プログラム「RADAR: Early Noise 2024」に選ばれました。

これは本人にとって偶然降ってきた出来事ではなく、2023年にEPを出したあと、翌年の選出を目標の一つとして周囲と話していたものでした。

ライブ経験を重ねながら認知が広がったのち、2024年6月30日にはKi/oon Musicとの契約が発表されます。

同じ日に公開されたのが「不屈に花」のミュージックビデオでした。

新しい契約を発表するタイミングで選ばれたのが最新曲ではなく、友人のために初めて作った原点の一曲だったことも、jo0jiのキャリアを振り返るうえでは印象的です。

この段階を「一曲で突然ブレイクした」とまとめるより、「不屈に花」の公開、1st EP「475」、Spotify RADAR選出、レーベル契約と、数年かけて段階的に活動範囲が広がった流れとして見る方が実際の歩みに近いでしょう。

1stアルバム「あえか」までに形になったjo0jiの音楽

友人のための最初の一曲から始まった曲作りは、その後も身近な人や自身の日常を題材にしながら増えていきました。

その積み重ねを一つの作品として並べたのが、2025年に発表した1stアルバム「あえか」です。

「あえか」に刻んだ、音楽を始めてからの軌跡

1stアルバム「あえか」は2025年7月9日にリリースされ、全13曲を収録しました。

「≒」から始まり、「escaper」「ゑ喪」「駄叉」「Nukui」「条司」「ワークソング」「謳う」「ランタン」「BAE」「眼差し」と続き、12曲目には活動の原点である「不屈に花」も収められています。

本人はアルバム制作でそれまでの曲を並べたとき、自分が音楽を始めてから経験してきた出来事を振り返りました。

「過去の出会いや経験が一つでも欠けていたら、今の自分はいないなと思いました。」

出典:anan「jo0ji、待望の1stアルバムは音楽を始めてから現在までを辿る“軌跡”の一枚」

そこから、か弱い、儚いといった意味を持つ古語「あえか」をアルバム名に選んでいます。

最初からアルバムという大きな完成形を想定して音楽を始めたのではなく、その時々の人や出来事をもとに書いた曲を後から並べたことで、自分が通ってきた時間が一枚の作品になりました。

また、子どもの頃から映画やドラマに親しんできた経験も曲作りに残っており、本人は『glee/グリー』から、自分の感情を音楽で表すことに大きな影響を受けたとも語っています。

「条司」は本名ではなく、“あり得たかもしれない自分”から生まれた

「あえか」に収録された「条司」は、jo0jiの本名を明かした曲ではありません。

制作の依頼時に示されたテーマの一つが、「あり得たかもしれない自分」でした。

その言葉からjo0jiが思い出したのが、自分が生まれたときの名前にまつわる話です。

「自分の名前が『条司』になる可能性があったんですよ。」

出典:Rolling Stone Japan「jo0jiが語る、儚い自身の存在と瞬間を刻んだ1stアルバム『あえか』」

母方の祖母は「条司」という名前を望んでいたものの、両親は別の名前を付けました。

本人が明かしている本名についての情報は、その名前があるミュージシャンに由来しているというところまでで、具体的な本名そのものを公表した発言ではありません。

つまり「条司」は本名ではなく、自分に付いていた可能性がある別の名前から、“あり得たかもしれない自分”を描いた楽曲です。

曲の中では、jo0jiが別の世界にいる「条司」を見ているような構図を考え、もう一つの人生を想像しながら制作しました。

友人を励ますために作った最初の「不屈に花」から始まり、身近な人や日常を題材に曲を書いてきたjo0jiは、「条司」では自分自身の“存在しなかった可能性”まで曲の題材にしています。

2025年7月9日に発売された「あえか」には、12曲目に「不屈に花」、6曲目に「条司」が並びました。友人へ送るために生まれた最初の一曲と、あり得たかもしれない自分へ向けた一曲が、同じ1stアルバムの中に収められています。

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